11 11月
  • By CWS JAPAN
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【アフガニスタン / 緊急食料・防災支援】アフガニスタンの防災力の向上を目指して

アフガニスタンでは、紛争や災害(干ばつ、洪水)の影響による農産物の減産や価格高騰に加え、2020年以降はCOVID-19の影響が重なり、深刻な食料危機に見舞われています。

これまでの紛争と慢性的な貧困を背景に、2018~2019年の干ばつの被害にもあっている多くの世帯が生計を回復する機会もないまま、2,300万人、つまり国民の半数以上が深刻な食料難に直面しており、900万人が飢餓の危険にさらされています[1]。干ばつ以外にも、2021年の間、主に洪水などの災害の影響を2万9,000人以上の人々が13の県で受けています[2]。また、今年に入っても災害による被害が続いています。

特に2022年6~8月に例年よりも洪水が急増しており、全国33県で洪水の影響を受け、被災した地域には壊滅的な打撃を与えています。2022年に洪水の影響を受けた人々の数は11万600人とされています[3]。2022年6月22日には、同国東部をマグニチュード5.9の地震が襲い、さらに、7月18日には、6月22日の震源地からわずか3kmを震源地とするマグニチュード5.1の地震が発生しました。現在までに行われた調査では、10万人が直接被害を受けたとされています[4]。Notre Dame Global Adaptation Indexでは、アフガニスタンは気候変動に対して世界で最も脆弱な国の一つとして11位にランク付けされています[5]。

アフガニスタン全土の地図。赤丸で示している場所がバーミヤン県です。

そのなかでもバーミヤン県は同国の中央山岳地帯に位置し、政治、社会経済的にも辺境の地として位置づけられ、その地形的特徴から、冬が厳しく、洪水や干ばつなどの災害を誘発する地域でもあります。

事業概要

アフガニスタンのなかでも、最も貧しい県の一つであるバーミヤン県では、特に食料などの基本ニーズを満たすことが難しく、国内避難民や帰還民、女性が世帯主の世帯、高齢者や障がい者のいる世帯などの脆弱性の高い層への人道支援は行き届いておらず、その被害・ニーズは甚大です。そこでわたしたちは、脆弱な世帯の人道的ニーズおよび気候変動に伴う中長期的なニーズに対応するため、(1)キャッシュ配布と(2)キャッシュフォーワークを実施することにしました。

キャッシュ配布とは

文字通り、最も脆弱な世帯に食料を得るための現金キャッシュを配布する活動”です。
慎重な裨益者の選定のプロセスを経て、最も支援を必要としている人に、3カ月にわたって食料や医療品、衛生用品などの生活必需品を得るための現金が配布されます。食料には小麦粉、米、油、豆類、塩などが含まれます。

アフガニスタンの別地域で実施した経験もあります。配布されたキャッシュで食料を購入した世帯の写真です。@CWSA

この活動を通して、現金を受け取った人とその家族の栄養価の高い食料へのアクセスが改善し、命を繋ぐことを目指しています。

キャッシュフォーワークとは

対象地域に裨益するような労働作業への従事の対価として、現金を裨益者が受け取る支援の方法です。わたしたちの事業では、災害に脆弱な地域を対象としているため、災害リスク軽減のための簡易インフラを設置作業を計画しています。この設置作業に参加する裨益者を選定し、参加した日数に応じて、現金を配布します。これによって、裨益者が収入を得るといったメリットだけでなく、対象地域のコミュニティとしても災害リスクに強靭になるといったメリットが生まれます。

2019年に同地域で灌漑施設の改修のために、このキャッシュフォーワークが用いられました。@CWSA

目指す成果

上記の活動を通して、アフガニスタン・バーミヤン県における脆弱な人々が、中長期的な災害リスクとその軽減方法を理解することにより、気候変動により激甚化する災害へのレジリエンスを高めるとともに、差し迫った食料不安のリスクを軽減できるようになることを目指しています。

どうぞ、引き続き、皆様からの温かいご理解とご支援をよろしくお願いいたします。