【ベトナム / チエムホア県災害レジリエンス向上事業】地すべり対策が進んでいます
2022年10月16日から21日まで、国土防災技術株式会社の防災専門家のお二人とベトナムに行って参りました。ベトナム北部では、以前から外務省NGO連携無償資金協力のスキームで、地すべりおよび洪水リスクにさらされているコミュニティの防災力向上支援をしていますが、その一環として地すべりの動きをモニタリングするという方法を採っています。使うのは木材と釘のみです。丁張(ちょうはり)といって、非常に安価に作る事ができ、かつ今回非常に明快に効果も検証できたので、ご報告いたします。
まず、丁張は地面に固定する木材が2本、それを横に繋ぐ木の板によってできています。地すべりの危険個所は地割れがあるなど、何かしらの予兆現象があるもので、その予兆が確認されている部分に丁張を取り付けます。例えば地割れがある場合は、それがだんだんと大きくなって、最終的に崩壊などに繋がるといった具合です。この丁張の動きをモニタリングし記録することによって、いつ・どの方向に・どれくらい地すべりブロックの動きがあるかが分かります。また、雨量データとの相関性を見ることによって、今後の動きも推測できます。
下の写真は事業地で地すべりの危険性を認識していながらも、できるだけ自分たちが代々所有する土地に住み続けていたご家庭です。この斜面は意図的に端部が切り取られていて(ベトナムではよく行われていることだそうです)、人が住めるスペースを確保していました。ただ、地下水の影響や、切り取った端部が地すべりの動きを抑えられなくなってきたなどの理由で、この斜面の崩壊リスクは高まっていました。この写真を撮ったのが今年の6月のことです。
そして今回同じ場所を訪問した際には上記のように斜面が崩壊していました。ただ、嬉しいことに、この場所では徹底的に丁張を設置し、地すべりの動きをコミュニティ、行政、そしてCWSベトナムチームでモニタリングしていました。
そして、この崩壊が起きる前に、ここに住んでいたご家族は道路の反対側に避難し、命も資産も(家は土砂に埋まってしまいましたが)守ることができました。国土防災技術株式会社の皆様の技術指導のもと、CWS Japanでは防災のサイエンスを人々が理解し、自分の知見としてアクションに繋げていくことが重要だと考えています。そんな想いが形になった嬉しい出来事でした。引き続き、人々の大切なモノを守る防災・減災を推進して参ります。