04 1月
  • By CWS JAPAN
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龍 信之助 様 | 医療法人社団RMDCC理事長 /虎ノ門ヒルズ歯科・医科 龍クリニック院長 /肢体不自由者卓球協会 理事 /株式会社龍虎企画 代表取締役社長 /CWS Japan理事

1. CWS Japanを知ったきっかけはなんですか?

15年程前に、小美野さんが私の歯医者に患者さんとして来たのがきっかけで、CWSを知りました。その当時はCWS Japanはなかったのですが、小美野さんのお仕事を聞いたところ、退職してCWSというNGOの活動でアフガニスタンに渡航すると聞き驚きました。アフガニスタンは戦争が起きている危険な国というイメージがあったため、そのような国に支援活動のため渡航すると聞いて感銘を受けたのを覚えています。それから、小美野さんが日本に帰国するたびに私の病院に顔を出してくれました。CWSのバンコク事務所に赴任するときも、交流は続きました。

当時の私が持っていた「NGO」のイメージは、金銭的報酬をもらわず、ボランティアベースでやっている団体でしたが、小美野さんとの出会いやCWSの活動を通して、NGO業界には人道支援を専門とする組織や人がいること、海外にはその人道支援のプロフェッショナルとしての地位が存在することを知りました。


2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに、小美野さんが日本への帰国を決めた時は災害が発生してわずか数日後でした。都内も混乱していた状況で、宿泊先がまだ決まっていないことを知り、私の家をしばらく貸したこともありました。その時点で組織は存在していませんでしたが、私の中では、そこでCWS Japanとしての支援活動が始まったと認識しています。CWS Japanが正式に設立されて以降、現在は理事としてもCWS Japanに関わっています。

2. CWS Japanと連携して良かったことはなんですか?

私は医者ですが、親も周囲の友人も医者であったこともあり、社会に貢献をするということは、常にやるべきことだと認識していました。その方法はたくさんありますが、お金だけを出し続けるだけの支援は、持続的ではないとも感じていました。
東日本大震災が起きて1週間後に、小美野さんや他のメンバーとレンタカーで石巻まで向かいました。そこで実感した災害現場のリアリティーが私にとって非常に大きな経験になっています。まず、現場に訪れ、船がお墓の上に乗り上げていたり、車両があり得ない場所に流れていたりといった視覚的な情報が入ってくることで、被災地の被害のスケールを実感しました。それよりも記憶に残っているのは、被災者の人から聞くお話しです。お話しを聞いた方の母親が自宅で亡くなっていたそうですが、その方は母親の死に悲しむ余力もなく、生きるために必死だという心境を打ち明けてくれました。食べ物・飲み物が全くないという困難を、一つの災害によって、現代の
日本で多くの方が経験していることに衝撃を受けました。

大震災によって、日本は長らく支援する側にずっと身を置いてきたところから、支援をされる側になりました。そんな状況のなか、海外からCWSのようなプロの人道支援組織や災害後の復興に関する知識を持っている人物が海外から日本に入ることのインパクトは大きかったのではないかと思います。

また、甚大な被害を受け、ライフラインやインフラ、食料等の様々なモノへのアクセスが難しかったなかでも、人々同士の暴動が起きていないことにも衝撃的でした。津波の被害は確かに甚大でしたが、震度が強かった地域でも建物の倒壊が起こらなかった場所もあったことから、ハードとソフトの両面で日本の防災の大きな潜在力を感じました。これらの経験は今後起こりうる首都直下地震などの大規模災害の備えを考えるきっかけになりました。

3. CWS Japanへのアドバイスや今後に期待することはなんですか?

CWS Japanの強みはお金や人を送り出しているのではなく、学術者や専門家とともに、知識・知恵を配布しているというところだと思います。それはとても大きな役割だと思いますし、大変意義のある活動だと思っています。そのような活動をもっと広めていくことが必要です。そのためには、メディアでの発信、啓蒙や普及啓発、企業などの多様なアクターとのネットワーキングなどを積極的に行っていく必要があると考えています。

資金調達に関しては、短期的には組織として寄付が得やすいような体制にするなどの方法がありますが、長期的に、またマクロな視点では、寄付文化のない日本の文化や風土を、CWS Japanのような団体に資金が集まるように変えていくことが必要だと感じます。それがよりよい防災の文化の醸成にも繋がっていくと思います。
私は人道支援の専門家ではありませんが、違う分野からの知識や視点をもって協力する意義はあるのではないかと信じていますし、CWS Japanが今後、組織として成長するための次のステップを踏めるように、私もできることを模索し、手助けをしたいと思っています。