今年6月末から続くモンスーンの豪雨は、パキスタン全土に甚大な被害をもたらしています。とりわけ北部の山岳地帯、ギルギット=バルティスタン州(以下、GB州)では、氷河湖決壊洪水と集中豪雨が重なり、村々が壊滅的な打撃を受けています。

現地の被害状況

この地域はヒマラヤ山脈に抱えられた世界有数の氷河地帯であり、モンスーンによる豪雨に加えて、近年の気温上昇に伴って氷河湖の決壊リスクが高まっています。今シーズンも不安定な氷河湖が度重なる豪雨に耐えきれず決壊し、突発的な鉄砲水が集落や農地、主要道路を押し流しました。7月下旬から8月にかけては、ギザー、シガル、ギルギット、フンザ、スカルドゥなど各地で洪水が相次ぎ、数十の村が「災害地域」に指定され、数千世帯が住居や生活基盤を失いました。

8月中旬のギザー県では、学校や病院、家屋が濁流にのみ込まれ、道路と橋が流されて孤立した集落には支援が届かない状況が続きました。通信や電力の途絶により、外部との連絡すら困難になった地域も少なくありません。山間部の主要幹線であるカラコルム・ハイウェイや灌漑水路も各所で寸断され、住民の暮らしや経済活動は深刻に停滞しています。

パキスタン国家防災管理庁の報告によれば、6月26日以降、パキスタン全体で少なくとも707人が死亡し、967人が負傷しました。住宅は2,900棟以上が損壊し、152の橋と600kmを超える道路が流失、5,000頭以上の家畜が失われています。全国的には数十万人規模が避難し、数百万人が影響を受けていると報告されています。例年9月頃までモンスーンの影響は続くため、さらなる被害の拡大も懸念されています。こうした全国的な被害の中でも、GB州はもともと社会基盤が脆弱でアクセスが限られているため、復旧が遅れやすく、被害の影響はより深刻です。農地や家畜を失った多くの家庭が、今後の生活の見通しを立てられないまま取り残されています。

現地では政府や人道支援団体が必死に対応していますが、被災範囲の広さと被害の大きさに比べて資源は圧倒的に不足しています。避難した人々は安全な水や食料、住居を確保することすら難しく、特に子どもや女性、高齢者など弱い立場に置かれた人々の暮らしは深刻な脅威にさらされています。

河川の増水による河岸侵食で、住宅の土台が流されて損壊した家屋。まるで地震のような揺れが起こり、家の一部が流されたと、避難した住民は報告した。

ギルギット=バルティスタン地方、フンザ地区にて。住宅が水害によって流されてしまったため、仮設テントで避難生活を強いられているザヒード・モハメド・カーンさん。

CWS Japanも緊急支援を開始します

CWS Japanはこうした状況を受け、すでに食料や生活必需品の配布などの支援活動を開始している現地パートナー団体と共同で支援活動を行う準備をしています。被災した人々が再び日常を取り戻すために、どうか皆さまの温かなご支援とご協力をお願いいたします。

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