30 5月, 2022
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【新宿区多文化共生防災事業】ウクライナ侵攻によって影響を受ける在留外国人のための相談会開催報告

以前、ニュースレターNo.65で外国人相談会主催について報告しておりましたが、その時に参加したボランティアの女性から1通のメールが3月末に届きました。それは、2月末に始まったロシア軍によるウクライナ侵攻によって影響を受け、苦境に立たされている在留外国人のために、また外国人相談会を開催してもらえないかという内容でした。彼女のもとにヘイト差別や在留資格の問題で相談が寄せられ始めたことが理由でした。

そこで、その当事者数名から早速聞き取りを行った結果、57日(土)に再び同じ教会を会場に外国人相談会を開催することを決めました。今回の相談会では、現在、戦争中である戦争当事国の出身者が集まるという緊張感があったため、SNS等による情報拡散を避け、関係者による口コミだけに頼ることにしました。

今回はネットにアクセス可能な相談者が想定されたことから、事前予約制にして、予め相談内容を知らせてもらう方法をとりました。それらの要望から在留資格について対応可能な弁護士と精神的ストレスについて相談できる精神保健福祉士(Psychiatric Social WorkerPSW)チームにご協力いただくことになりました。どの相談員もこれまでの相談会や災害支援で連携協力関係があった方々です。また、クリスチャンコミュニティよりマイノリティ宣教センターと難キ連(難民・移住労働者キリスト教連絡会)が共催者として運営に関わって下さり、今回のようなセンシティブな課題を最少人数のスタッフで対応することにしました。

どの相談員もこれまでの相談会や災害支援で連携協力関係があった専門家の方々です。また、クリスチャンコミュニティよりマイノリティ宣教センターと難キ連(難民・移住労働者キリスト教連絡会)が共催者として運営に関わって下さり、今回のようなセンシティブな課題を最少人数のスタッフで対応することにしました。

このようなクローズド開催にした結果、実際はロシアとジョージアの出身者が相談会に訪れました。ロシアによるウクライナ侵攻が始まってからというもの、私たちがウクライナ関連の報道に触れない日はなく、その多くはロシア軍による爆撃や虐殺という悲惨なニュースです。しかしながら、その陰で、日本で暮らすロシア人やジョージア人など近隣諸国出身者の不安や苦悩については、あまり報じられていません。

私たち日本人には知り得ない分断が日本で暮らすロシア人とウクライナ人の間だけでなく、ロシア人コミュニティ内でも起きており、戦争反対派と擁護派の間で意見が割れ、誹謗中傷の投稿によってSNSが炎上している話を聞きました。またさらに悲しいことに、ロシア人だという理由で失職したり、就職できない、または取引を断られるなど、日本人によるロシア人差別も起きていることを知りました。

今回来場した相談者は戦争反対派の方々ですが、反戦デモに参加したり、SNS上で反対意見を表明したことによって、ロシアで新たに作られた法律に反する行為を行った犯罪者として本国政府から見なされることになり、帰国不可能な立場になってしまいました。中でも日本の永住資格がないロシア人の間では、今後、日露関係がより深刻になっていけば、日本で仕事を続けるための就業ビザが更新できなくなるのではないかという不安の声が出始めていました。

また、ウクライナ同様、旧ソ連構成国だったジョージア出身の男性も相談会に来場しました。ロシア人やウクライナ人の友人・知人が多い彼にとって、今回の戦争は非常に現実的な出来事であり、2008年にジョージアがロシアに侵攻された時とよく似ていると言っていました。彼は、国籍が異なるだけで同じ民族、正教徒同志が殺し合っていることを憂いており、ウクライナで多くの一般市民が亡くなっていることが一番辛いと語っていました。解決を求めるよりも、自身の苦しい胸中を誰かと共有したいという気持ちで来場し、PSWの相談室でたっぷり1時間ほど語り、礼を言って、会場を去っていきました。

在日外国人の在留資格は非常にポリティカルな問題です。現在、日本政府は多くのウクライナ人を本国から避難民として受入、その数も既に1,000人まで達しました。その一方で、紛争や虐殺で帰国できない多くの外国人が難民認定を受けられない状況は今も変わらず、多くの支援団体が他の国籍の人々のことも顧みるよう声を上げ始めています。

相談会終了後、関係者全員で振り返りと意見交換をした。

今回の相談会では、この戦争で影響を受け、苦しんでいる友人達の話を聞き、状況を知り、日本人ができることを共に考えることを目標にして、要請に応じることにしました。来場者からは、「今後も小規模で頻繁に相談会を開催して欲しい」という要望が聞かれました。今後、この戦争がどんな方向にどこまで続くのかが見えませんが、このように当事者とつながることができたことは強みであると感じています。私たち自身も小さき者です。是非、皆様にこの輪に加わりご協力いただけたらと考えています。