02 8月
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⽵内俊之様・藤岡恵美⼦様 |特定⾮営利活動法⼈ふくしま地球市⺠発伝所(福伝)

1. CWS Japanを知ったきっかけはなんですか?

ふくしま地球市⺠発伝所(福伝)は、国際協⼒NGOセンター(JANIC)が東⽇本⼤震災発⽣時に⽴ち上げた震災タスクフォースの福島担当メンバー2⼈が設⽴したスピンオフNGOです。CWSJapanにはJANIC時代から福島での活動全般を⽀援していただきました。(CWS Japan職員の)⼩美野さんや牧さんは(時にはドナーを案内して)福島まで⾜繁く訪問していただきました。歴史上前例のない福島の原発災害の現状を伝える窓⼝として、被災者の皆さんの⽣の声を伝えるお⼿伝いをしてきました。その時のお付き合いがそのまま継続して今⽇まで続いています。

2. CWS Japanと連携して良かったことはなんですか?

2015年3⽉に仙台市で開催された国連防災世界会議では、会議出席者ばかりでなく期間中に東北を訪問した⼈たちへ、福島原発災害による被害を分かりやすく伝える取り組みを⾏いました。会議の数ヶ⽉前からCWS Japanを始めとした複数のNGO関係者と福島ブックレット委員会を構成し、「福島 10の教訓〜原発災害から⼈びとを守るために〜」の作成を進めました。会議当⽇までに⽇本語、英語、中国語、ハングル、仏語の翻訳が完了し、それぞれの⾔語の冊⼦を会場の内外で配布することができました(仏語はPDFのみ)。その後委員会を構成する各NGOのネットワークによって、最終的に14⾔語で翻訳され、各国の協⼒者によって世界各地で活⽤されました。特にCWS Japanのイニシアティブで仙台の会議以降も防災閣僚級会議などで発信できたことは、ともすれば反原発・脱原発の⽂脈のみで語られることが多い今回の災害を、防災・減災の枠組みで問題提起できた点で、大きな成果だと考えています。

3. 防災支援・緊急人道支援で大切にしている貴社のアプローチや課題を教えてください

私達は今回の災害、特に福島の原発災害に特化した活動をしてきました。その限られた活動のなかで学び、現在⼤切にしたいと思っていることは以下の2点です。

●放射能の被害を⼤きくとらえ被災者の安⼼を最優先にすること。
福島での活動はどちらかと⾔えば、原発事故による放射能への恐怖や避難の問題、地域の産業、⽣活・社会の存続などについて被災者と向き合うことでした。その中では先の⾒えない現実に対する不安や怒り、悲しみに直⾯することが多々ありました。それに対応する独⾃の活動は作れませんでした。漠然とした不安も含めて、さまざまな疑問に対応する「相談窓⼝」の活動は、いわゆる「⼼のケア」とも⾔われますが、単に⼼の問題だけではなく国や⾏政の⽀援策や避難先の選択など、具体的なものも少なくありません。⾃然災害でも同様ですが、特に原発事故の場合、放射能や避難の問題など、差し迫ったニーズに対応するため、発災直後の緊急援助の段階から必要とされる活動だと思います。

●外部からの⽀援の負のインパクトを常に念頭におき対処すること。
被災地の外から⼤きな資⾦や⼤量の物資が持ち込まれる場合、現地の⽀援者とそのコミュニティに⼤きな負担となる場合があります。外部⽀援者の都合で活動を押し付けることが被災地の⽀援団体内部で軋轢や分断の元になり混乱を招いたこともありました。
また、突然活動が⼤きくなることで組織の管理統治能⼒を超える事例もありました。団体内部はもとより、⽀援者と裨益者である被災者との間でさえパワハラやセクハラ、虐待や性暴⼒が発⽣しました。それに対する責任者の対応は、運営の透明性や説明責任の観点からも⼗分であったとは⾔えません。

私達のような⽀援団体の活動は、善に根ざした活動で、社会⼀般から「良きもの」に分類されます。⼈権や⼈間の尊厳を標榜する活動であるならばなおさら、それらの問題に蓋をするのではなく、厳しく律する必要があります。そんな事態に遭遇したときに、それぞれの⽴場でどのように対応すべきかを準備することが必要だったのです。

被災地の外部・内部の双⽅の⽀援者で、それぞれの⽴場で過去の事例に学び、⾏動指針のようなものを作る活動は⾮常に重要だと思っています。

4. CWS Japanへのアドバイスや今後に期待することはなんですか?

⼤規模な⾃然災害と原発事故がほぼ同時に起きた今回の東⽇本⼤震災。再びこのようなことは起こっては欲しくないですが、世界に原発がある以上可能性はゼロではありません。⾃然災害による施設の破壊で被害が拡⼤するのは、原発(原⼦炉)以外にも、⽯油コンビナートや化学プラントなどの産業施設もリスクとして再度認識する必要があります。CWS Japanは国連防災世界会議を始めとする世界の防災・減災で活動する官⺠のコミュニティに引き続き注意喚起を促し、警鐘を鳴らし続けていただきたいと思います。