19 6月
  • By CWS JAPAN
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パキスタン / 害虫被害緊急支援事業

パキスタンではサバクトビバッタが大量発生し、国内の農業地帯における甚大な農作物への被害が報告されています。深刻な被害を受けてパキスタン政府により全土に緊急事態が宣言されて以降、同国南部を中心にバッタ駆除のための措置がとられてきましたが、新たなバッタの群れが周辺国からパキ スタンに及んでいること、そして今後バッタが繁殖期をむかえ、すでに産卵や孵化が始まっていることが同地域で確認されたことから、さらなる対策強化のニーズがでてきました。
上記の現状に鑑み、CWS Japanは最も被害が深刻な地域の一つである同国シンド州において、バッタ被害被災農家に対する緊急キャッシュ支援並びに同国政府を通したバッタ駆除の ための薬剤供与を通し、当該農地への更なる被害を食い止め、被災農家の生計回復およびそのための能力強化に寄与するために支援を開始します。

現在、周辺国で大量発生したバッタは、既にパキスタン国内にも侵入し、パキスタン国内において過去30年で最大の被害 を発生させています。パキスタン政府の調査では、バロチス タン州の13地域、シンド州の9地域、パンジャブ州の8地域、 カイバル・ パクトゥンクワ州( KP 州 ) の 1地域( 計 985,230ha)でバッタの群れが確認できています(※1)。な お、このうちシンド州だけでも、被害作付面積は68,271ha (※2)にも及び 、現地の農家コミュニティの生計に影響を及ぼ していることが判明しています。

シンド州はバッタの被害を最も受けている州 の一つですが、そのなかでも特に貧困率が高く砂漠地帯に位置するシンド州ウマルコート(※3)は、バッタによる甚大な被害を受けており、今後も更なる影響を受けることが予測されています。干ばつ地域でもあるウマルコートは天水農業のために農作物も限られた期間にしか収穫することができず、また収穫量は天候に大きく左右されるため、バッタによる被害もシンド州の灌漑農業地帯より比較的深刻化しやすいことが見込まれています。 また、同地域はインドの国境沿いに位置しており、インドにおいて発生したバッタの大群 が同地域に移動し最初に被害を及ぼすリスク が高いと考えられます。

害虫被害が集中し、被害の更なる深刻化が予測されているシンド州ウマルコートにおいて、当事象により既に生計に影響を受けている農家による害虫の卵駆除のための耕耘作業に対しキャッシュ配布を行うことで、当該農家に対する生計回復支援と、害虫の卵の孵化を阻止し、さらなる被害を防止す るための支援を行います。また、既に孵化・ 成虫化した害虫による被害の拡大を防止することを目的とし、害虫駆除のための薬剤を同国政府に供与します。さらに作物管理・病害虫管理研修を実施することで、被災農家自身が自主的、継続的に講じることができる予防対策手段を習得し、上記支援の効果の向上および持続発展性を目指します。