27 4月
  • By CWS JAPAN
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最終報告:インドネシアにおけるサイクロン・セロージャ被災者緊急支援

昨年4月にインドネシア東ヌサ・トゥンガラ州に上陸したサイクロン・セロージャの被災者支援をジャパン・プラットフォームの資金協力のもと、実施していました。今年の1月に無事、支援活動を完了させることができ、支援によって、どのようなインパクトが現地で生まれたのか、ご報告させていただきます。

⽀援活動は次の3つを実施していました。 ①危険な構造物の下や屋外などの劣悪な環境下で避難⽣活を送っている被災世帯に対し、衛⽣⽤品、⽣活⽤品、そして⼀時的な避難場所として緊急シェルターキット(テント⽤品)を提供すること。これらの物資の配布と同時に、新型コロナウイルス感染症やそのほか感染症予防のための啓発を⽬的としたセッション(衛生促進セッション)を各世帯にて実施しました。 ②同災害により汚染した井戸を修復すること。最終的に、①、②の活動を通して、被災後の劣悪な環境による感染症などの⼆次災害を予防することを目指しました。 最後に、③どのように災害が発⽣したのか、また地域における災害のリスクはどこにあるか等への理解を深めるために、災害リスク評価およびハザードマップを作成し、防災アクションプランも策定すること。

  • 最終的に当初計画よりも327世帯多い1,011世帯に各物資を届けることができました。また、事業終了時の裨益者へのインタビューの結果から、衛生促進セッションを受講した被災家族684世帯の内80%(547世帯)が、よりよい衛生習慣に関する知識が増えたと回答しました。
  • 事業終了時には、当初計画通り対象村6村にある合計60基の井戸が修復・清掃され、684世帯が清潔で安全な水を利用できるように改善されました。なお、井戸維持管理委員会メンバーとなった600人が、主に「井戸維持管理委員の責任とは」「井戸の適切な使用方法」「日常の保守管理方法」「井戸維持管理における良い/悪い事例」等を学ぶトレーニングに参加し、事前・事後テストを受けた人の80%が井戸の操作やメンテナンス方法について正しい知識を得て、理解を深めることができました。
  • 対象村の行政職員、コミュニティ・リーダー、コミュニティ・メンバーからなる被災コミュニティの主要メンバー合計180人が、災害リスク評価、ハザードマップ作成、防災アクションプラン作成のプロセスに参加し、最終的に6村それぞれで防災アクションプランが作成されました。その結果、水災害に脆弱な地域や避難するための安全な地域が見える化され、被災コミュニティ内でこれらに対する理解が深まり、また防災アクションプランが策定されたことで、近い将来発生しうる災害に対し、同じような被災を回避できるように意識変容を促進しました。

 

対象村の一つで同サイクロンに被災した一人のお母さん、テレシア・ヌワさん(41歳)にインタビューしました。彼女は、災害リスク評価やハザードマップ作成などに積極的に参加し、事業後も災害対策活動に積極的に参加しています。彼女はこう言います。

同サイクロンに被災したテレシア・ヌワさん(41歳)

「私も家族も喜んでいます。サイクロンによる被害から回復し、収入源を再建するための物資支援を受けたことだけでなく、雨季になると必ず起こる洪水について学ぶことができたのです。洪水から大切なものを守るために何をすべきか、どこに行くべきか、より理解できるようになりました。私たちはより安全で、今後起こるであろう洪水への備えもできていると感じています。」

 

これまで、対象地域の人々は、現地の一般的な高床式住居や屋根裏部屋は安全だと考えて避難行動をとらないこともありました。他にも、毎年起こる洪水の被害にあうことは当たり前で、防ぎようがない、回避できない天災だと認識していました。確かに地震や洪水等の災害の発生を止めることはできないかもしれませんが、事前にそれらの災害に備え、対策をとることで、被害を最大限に抑えること、つまり災害リスクを減らすことは可能です。このように、人々の災害の捉え方が変わり、コミュニティ主体で防災活動が行われることに担当者としてもとても嬉しく感じるとともに、この地域がより災害に強靭(レジリエント)で、災害の被害にもしなやかに立ち直るコミュニティになれるよう、サポートしたいという思いが強くなりました。