02 11月
  • By CWS JAPAN
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峯田敏幸 様 |日本キリスト教協議会 事務局職員

10年間にわたるCWSとの提携による発展は「東日本大震災被災地支援」「JETS活動」「ACT ジャパン・フォーラム」の3つの段階に分けられます。

  • 東日本大震災

日本キリスト教協議会(NCC)とCWSのパートナーシップ締結は2011年の東日本大震災がきっかけでした。

東日本大震災が発生したのは、神楽坂にある聖公会のバルナバ教会でNCCの常議員会が行われていたときでした。休憩に入った直後にあの想像を絶する揺れを体験したのですが、多くのNCC関係者があの体験を共有したことは、その後のNCCの活動にとっても大きな意味があったと思います。

会議の中で行われていた協議は吹き飛んでしまい、直後から対大震災の行動が始まりました。他のあらゆる団体と同様、NCCにも発生直後から数多くの問い合わせや励ましのメールや電話や献金申し出などが殺到し、対応しきれない日々が続きました。

NCCはそれまでにも海外で自然災害があるたびにACT Alliance の依頼を受けて、被災地支援の献金呼びかけを行ってきました。しかし、東日本大震災は国内で発生した災害であるため、この方法での献金呼びかけができませんでした。いや、それ以前の問題が立ちはだかったのです。震災が海外か国内かということよりも、災害の規模の大きさに対応できる体制をNCCがまったく持っていなかったことです。

未曾有の災害に対応するために、役員会は加盟団体とも協議しながら支援の体制を作る準備を進めていきました。日を置かずWCCをはじめ、海外のキリスト教団体からも人が派遣され、支援体制の話し合いが頻繁に行われました。

しかし事務所が効果的に運営されるためには、被災地支援のノウハウを持っており、さらに海外との連絡や交渉ができる団体の協力を必要としました。さまざまな方策を模索していた頃、CWSの事務局長 小美野剛さんがNCCを訪れ、パートナーシップの提案をしてくださいました。4月に契約が交わされ、こうしてCWSの協力を得て私たちの支援活動が始まりました。

5月に韓国ソウルで東アジア各国のNCC団体によるJapan Earthquake/Tsunami Relief Ecumenical Solidarity Meetingが開催されました。この会議の要請を受けてNCCは被災地支援を担当する日本キリスト協議会エキュメニカル震災対策室(Japan Ecumenical Disaster Relief Office、JEDRO) を立ち上げました。このJEDROを窓口とすることでNCCは国内向けに献金を呼びかけることが可能になったのです。

2011年4月19日、契約書に署名する輿石NCC前議長(左)と小美野CWS Head of Emergency(当時)
  • JETS

JEDROはその後4年間にわたり支援献金を集め、それをさまざまな支援活動に割り当てて被災地の復興に努めてきました。海外や国内からの献金額がある程度落ち着いてきたNCCの第38回総会期の終了と共に、2015年3月、JEDROはその役割を終えて、解散しました。

しかし、東日本大震災被災地の完全復興がほど遠い中、日本は地震だけではなく、台風、豪雨といった、それまでに誰も予想していなかった規模の自然災害に毎年襲われるようになりました。もちろんそれは世界的な傾向です。世界の多くの地域で大地震や火災や洪水が発生しており、そのことにも十分に目を配らなくてはいけません。同時に、東日本大震災とそれに続く自然災害は私たち日本人に、いつも私たち自身がそういう危険と隣り合わせで暮らしていることを気づかせてくれたのです。

海外への資金援助をすれば足りていた時代は終わりました。以前から耳にしていた首都圏直下型地震、南海トラフ地震などもにわかに現実味を帯びてきて、私たちは単に被災地の復興だけでなく、防災を真剣に考える必要が出てきました。

JEDROに残された資金を元に、新たにJapan Ecumenical Task Force for Saigai (JETS) というプラットフォームができました。これはNCC、CWSを中心にYMCAやワールドビジョンといった支援活動を行っている団体と協力して、防災に関して学びや討議を行うものです。不定期に会合を開き、専門家の話を聞きながら、自然災害にどう備えていくか、またキリスト教界がそのことでどのように貢献できるかを話し合い、毎回貴重な情報や知恵の共有ができました。

  • ACTジャパン・フォーラム

NCCはACTからの要請を受けて海外の支援活動に協力してきましたが、ACTのメンバーではありませんでした。2011年、ACTの機構改編があり、NCCは2012年、正式にACT Allianceのメンバーとなりました。CWSもすでにACT のメンバーとなっており、2018年、CWSがNCCの加盟団体になることによって3団体の協力体制を強めることができるようになりました。ACT は機構改編に伴い世界各地のメンバー団体に対し、地域ごとの自主的活動を進めるフォーラムを作ることを提唱していましたが、CWSとNCCはこれを受けて2019年ACT ジャパン・フォーラムを発しました。

気候変動が世界のトップレベルの課題の1つとなっている今、ACTジャパン・フォーラムが果たすべき役割は大きいと言えます。

この10年間に世界の諸問題は増えこそすれ、解決したものは多くはありません。自然災害の発生件数増加は多くの人たちがニュースで見聞きしているとおりですが、私たちの意識も体制も必ずしも現状に追いついてはいません。確かな知識やネットワークを持っているCWSはNCCにとって心強い存在です。自然災害の予防や支援においてもこの先まだまだ時間がかかりそうですが、良い協力関係を維持してこの重要な問題に取り組んでいきたいと思います。